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第八回「俺のアジト」

いつもの喫茶店、いつもの店員さん、いつもの二階の窓際のカウンター、いつもの灯油の匂い、いつものオーダー、いつものノートパソコン。

最近、毎日通っている。先日は、1日に2回行った。昼に行って、途中仕事で抜けて、夜また戻ってきた。あのバンダナ巻いた坊主の店員さん。上手く進まない時は、イライラしてしまう。なんで坊主なんだよッとか、心の中で八つ当たりしてしまう。でも、良い詞が完成した時は、まさに天使。俺のこの世で一番の理解者だ。お、良いタイミングで水を注いでくれるねッなんて、心の中でお礼をしている。

「いらっしゃいませ。」
「1人です。」
「コーヒー牛乳を。」
「かしこまりました。」

「はい、コーヒー牛乳です。」
「ありがとうございます。」

「650円です。」
「ありがとうございました。」

ぐらいしか会話をしたことない。

店員さんからは俺はどう見えているんだろう。

寝巻き同然の格好で現れ、二階の隅っこの方で、パソコンに向かってイヤフォンをしながら。髪を掻きむしり、貧乏揺すりして小声でなんか呟いてる。そして二時間置きに打って変わって、静かにお笑い動画をボーと見つめる。その繰り返し。

相当ヤバいんじゃないかと不安になる。カップルのお客さんも少なくないここの雰囲気を壊してるんじゃないか、とも思う。

でも、もうあの環境でしか詞が書けなくなっている自分がいる。中毒に近い。

坊主のお兄さん、いつもお世話になってます。僕は、近くに住むバンドをやっている者です。不審者ではありません。


p.s 若者に「ボヘミアンラプソディー観た?」って聞いて「観てないです。」と答えると、観てないって言ってるのにQUEENを熱く語ってくるおっさんうぜぇってずっと思ってたけど、年明けに観たら普通に感動しちゃって、まだ観てない人に熱く語ってる自分がいて、自分がただ単純なバカなのか、とうとうおっさんになっちゃったのか。どっちなのか不安でしょうがない。単純なバカでありたい。

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